
数学に、“組合せ爆発”という用語がある。たとえば、荷物の配送ルートを考えるとき、届け先が2カ所なら候補のルートは2通りだけれど、5カ所になると120通り、10カ所ならば360万通りにのぼる。届け先が増えるにつれて、どの順番で回るかの組合せは爆発的に増えていく。ある瞬間から急に手に負えなくなるこの現象を組合せ爆発と名付けたのは、言い得て妙だなぁと思う。“爆発”の響きには、「もう考えきれない!」のトホホ感とともに、どこか「ここからはじまる」希望も漂っている。数えられないくらい選択肢が多いのは、見方をずらせば、それだけ世界がひらかれていることでもある。
休日というものは、たぶんそれに近い。掃除もしたい。本も読みたい。山にも行きたいし、海辺でぼんやりもしたい。せっかく晴れているから遠出もしたいけれど、家でパンを焼きながら映画を観るのも捨てがたい。冷蔵庫の野菜も気になるし、見逃しかけている展覧会の会期も頭をよぎる。大人になると自由時間は増えるどころか減っていくはずなのに、さかさまに、やりたいことだけは増えていく。
“やりたいこと爆発”に気圧されて、せっかくの休日をどう過ごすかを「もう考えきれない!」と投げうってベッドでだらだらしてしまうのは、もったいない。数学者やシステム開発者たちは、膨大な組合せを前にしたとき、必ずしも唯一の正解を探し求めるわけではないのだそうだ。冒頭で例に挙げた配送ルートも、全部の組合せを検討し尽くすのではなく、「まずは近い場所から回る」を含めた現実的なそこそこ良い解を積み重ねて、より良質なルートを導き出していく。
同じように休日も、「緑に包まれたいな」と思い立ったら「そうだ、散歩に行こう」くらいの気軽さで動きだすが吉なのだろう。神戸暮らしだと、新神戸駅から歩いて15分ほどで、布引の滝だ。マイナスイオンたっぷりの山の空気に満足しておなかが減ったら、まちに下りてお昼ごはんを食べよう。ごはんのあとは、おなかを落ち着かせるのも兼ねて、本屋に立ち寄ったり、雑貨屋を覗いたりの散策タイム。散策ついでに海の方まで足を伸ばすのもいい。メリケンパークでは、風の湿度がまた変わる。「緑に包まれたい」で始まった休日のゴールが潮風というのも、なかなか乙じゃないですか。
そんな休日のお出かけには、CotopaxiのDel Diaシリーズのリュックサックがよく似合う。生地はパーツごとに黄色に水色、オレンジに紫、ファスナーも別の色とカラフルで、一見すると、かなり大胆な色の組合せである。その日そのとき工場にある素材をスタッフが感性で選び取って組み合わせており、リュックの配色はひとつひとつ異なるらしい。つまり、色合わせの正解が、最初から存在していない。それがアウトドア用・まち歩き用といった“正解”の役割を固定しない自由さにつながっているのか、山道はもちろん、雑貨屋が並ぶ街中の路地にも、喫茶店の木の椅子にも、海沿いのベンチにも、すっと馴染む。
その日どこに行くか、何をするかの組合せは、無数にある。組合せの内容や順番を朝起きてすぐに決めきらなくても、曖昧さを抱えながら動けるのが、休日のいいところだ。“色合わせ爆発”のリュックを背負って、玄関を出る。さあ、どんな巡り合わせの一日になるかしら。数えきれないくらいの選択肢に囲まれた休日は、希望に満ちている。
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