ゆかたには平織りをはじめ、様々な生地の種類があります。色や柄の他、それぞれの生地の特徴や魅力も知ると、ゆかた選びもさらに楽しく。紅梅(こうばい)や綿絽(めんろ)、麻糸の入ったものなど見た目にも涼しく透けやすい生地は、ゆかたの下に着る肌着の準備なども重要なポイント。長じゅばんを着てきもの風に楽しめるゆかたもありますので、ご着用シーンに応じたコーディネートをご提案します。
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【コーマ地】
昔から使われている代表的なゆかた地。短い糸や不純物を除去し滑らかに仕上げた、毛羽立ちが少なく丈夫な“コーマ糸”を使った平織です。透け感のないやわらかな質感が特徴です。 -
【紬(つむぎ)地】
紬風の綿の生地で、落ち着いた色調の平織り生地。透け感はなくしっかりとした生地のため、色柄によっては夏の前後の時期に木綿きものとしても楽しめます。 -
【セオ®α】
ポリエステルの生地の一種。さらりとしたドレープ感のある質感で、化学繊維ながら清涼感のある肌触りで吸湿性に優れています。ゆかたときもの兼用で着られることも。 -
【綿絽】
生地にレース状の絽(ろ)を織り込んだ、横段や縞状に透け感のある生地。ゆかたでは綿の生地に絽を施した綿絽が主流。 -
【綿麻・麻】
夏の代表的な素材である麻は、速乾性・通気性が高く、ひんやりとした肌触りが特徴。糸に撚りをかけた縮(ちぢみ)は生地に凹凸があり、ナチュラルな印象です。 -
【紅梅】
細い糸の間に太い糸を格子状に織り込んだ生地。綿紅梅や絹紅梅があります。糸の太さの違いで生まれる凹凸により、生地が肌につきにくく、さらりとした着心地です。
機械を使用した染めの他、ゆかたの染めには昔ながらの手仕事の技法も伝承されています。一反ずつ染める引き染めの技法と大阪で生まれた注ぎ(そそぎ)染の技法“注染(ちゅうせん)”を紹介します。
①【引き染め】
白生地一反を長い木の板に広げた上から、和紙の型紙を使い防染糊(ぼうせんのり)を刷毛で塗ります。
これにより染めたくない場所は糊で守られ、元の生地の色のまま残ります。
糊が乾いたら、生地を細い竹の道具“伸子(しんし)”を使いピンと張った状態にし、染料を丁寧に刷毛で引き染めし、生地の染色を施します。
※参考写真提供 株式会社竺仙
その後生地を水洗いすると糊が落とされ、防染されていた箇所が柄として現れます。
②【注染】
明治20年ごろに大阪で誕生した染色技法。生地の上に型紙をのせ、折りたたんで防染糊(ぼうせんのり)を塗っていきます。
重ねた生地の上に糊で土手を作り、染めたい箇所に染料を注ぎ込み染色します。
手作業で様々な柄や色合いを一度に表現でき、注染ならではの“ぼかし”などの技法を活かすことで、立体感や柔らかみも出せます。生地を重ね、注ぎ染めで表裏両面を染色するため、表も裏も同じ柄・同じ色合いでできるのも注染の特徴です。
ゆかたの柄には、季節の花をはじめ日本の伝統的な紋様がたくさんあります。幾何学的な柄やエレガントな印象の柄など、日本ならではの紋様の意味を知って、今年のゆかた選びの参考に。
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【麻の葉】
植物の大麻の葉を紋様化し、正六角形の連続模様が美しい柄。麻は成長が早く真っ直ぐに伸びていくことから、成長を願う意味があります。 -
【荒磯(あらいそ)】
中国から伝わった名物裂(めいぶつぎれ)のひとつ。竜門という激流を登り切れた鯉だけが竜になるという“登竜門”の語源となった故事から、“立身出世”の意味を持つ力強い柄です。 -
【菊】
古くから漢方などにも使われ、美しい姿から“長寿”や“高貴”の象徴とされています。季節を先取りして秋の代表的な花をゆかたに取り入れるのも、日本の和装文化の魅力です。 -
【雪輪(ゆきわ)】
雪の結晶を図案化した柄で、かつて「雪がたくさん降った翌年は豊作になる」と言われたことから“豊かな実り”“五穀豊穣”の意味を持ちます。見た目に涼を誘う柄としても愛されています。 -
【朝顔】
夏の朝に可憐に咲く朝顔は、季節の風物詩として涼しげで爽やかな印象を与えます。小振りで可愛らしい柄から大振りで大胆なデザインまであり、こどもから大人まで人気のある紋様です。 -
【金魚】
夏祭りの金魚すくいなど、夏の思い出に残る金魚の姿。鮮やかな色彩や水に揺れる尾びれなど、金魚モチーフは夏の風物詩として見る人に涼しげな印象を与えます。
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