愛が溢れるほどに満ちた暮らしのフロア 本館5階 Affection for Life

2023.09.14

やさしさのおまじない。

「英語にはね、ちょっとした縁起かつぎをしたい時の決まり文句に、touch wood(木にふれる)とかknock on tree(木をノックする)というのがあるの。何かいいことがあったときや願い事をするときに、“この幸運が続きますように”とか“うまく行きますように”という思いを込めて、身近にある樹や木製のものにさわるのよ。」
 私にそんなことを教えてくれたのはイギリスに長く住んだことのある叔母だ。叔母によれば、縁起かつぎ以外にも「しまった、今ちょっと調子に乗ってしまったな」と感じたときに、「ごめんなさい、災いが降りかかりませんように」という自戒を込めたおまじないに使われることもあるのだという。
 当時、私は出産後で、初めての育児に翻弄される日々を送っていた。叔母からプレゼントだと手渡された包みから出てきたのは、木のおもちゃ。あの日「木にふれる」というおまじないのことを話してくれたのは、新米ママだった私への、叔母なりの「がんばれ」のメッセージだったのかもしれない。

木にふれていると心が落ち着く、というのは科学的にも実証されつつあるらしい。ある大学で行われた実験では、木材にふれることによってもたらされるリラックス効果は、ステンレスや大理石、タイルといった素材に比べて高かったという。木にふれている時は、脳内で副交感神経の活動が盛んになっているそうだ。
 子どもの五感や情操を育てるのに木のおもちゃがいい、と言われてきた背景には、そんな理由もあるのだろう。けれど、子どもだけじゃなく大人にとっても、木のおもちゃはいいものだと思う。軽くて手ざわりがまろやかで、ぶつかり合う音もやさしく、古びてもなお味わいがある。使い込まれて塗装が剥げた姿すら素敵に見えるというのは、木ならではだ。家事に仕事に子育てに忙しい毎日、時には気持ちがささくれ立ってしまうこともあるけれど、上質な木のおもちゃであれば、散らかったのを片付ける時の気分だって少し違ってきそうだ。
 ふれるだけでなんだか癒されるって、何かに似た話だな。そう考えて思い出したのは「スキンシップ」のことだ。手や肌の触感というのは不思議と長く記憶に残るもので、たとえ相手が今は目の前にいなくても、私たちの体はその感触をちゃんと覚えていて、思い出すだけでやさしい気持ちになれたりする。木の質感も、肌のぬくもりも、親から子へやさしさを伝えるおまじないなんだ。

「上質な木のおもちゃを囲んで、親子でたくさんふれ合ってね。」
そんな願いを込めて、今、私が小さなベビーのいるファミリーに贈りものとして選ぶのは、gg*(ジジ)のoekaki house(オエカキハウス)。色づかいや形がおしゃれで、出しっぱなしにしていても絵になるのがうれしい。

子どもが乳幼児期を卒業したら、そこから先は「おかえり」とか「おやつあるよ」なんて書き置きメモを託すメッセージボードとして活躍してもらうのもいい。年季の入った木の風合いは、言葉以上に雄弁に、愛された日々の手ざわりを子どもたちに伝えてくれるだろう。「いつまでもこの幸せが続きますように」、そう心の中で呟いて、私はこの木のおもちゃを幼い手に渡す。

gg*(ジジ)oekaki house dog (オエカキハウス ドッグ)
8,500円(税込)
【gg*(ジジ)】
二人の日本人女性デザイナーが2007年に立ち上げた木のおもちゃのブランド。それまでの木製玩具にはなかった色使いや、インテリアとしても楽しめるおしゃれなデザインで人気を博している。世界の厳しい玩具安全基準や、日本の食品検査もクリアした安全性も魅力。
【oekaki house】
家の形をしたお絵かきボード。ペンや3種類のスタンプを使って絵を描けば、赤、青、黄、緑の4色があらわれ、ツマミをスライドさせればまた白い画面にリセット。さらに三角屋根についたカラフルな木製ビーズで数遊びも楽しく。トートバッグ型の収納袋がついてお片付けや外出に便利。白いボードは交換可能だから長く愛用できる。
■売場
本館5階 マム&ベビーセレクト
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