阪急うめだ本店

HANKYU REBORN SHOW

 1階 コンコースウィンドーの作品を手掛けた アーティスト集団「再倖築」インタビュー

使わなくなったものに、
新たな命を吹き込んで。
10月9日(水)~28日(月)、1階コンコースウィンドーでは、阪急うめだ本店で捨てられようとしていた古布、装飾素材、小傘、古紙、ハンガーの5つの素材を生かして作り上げた、オートクチュール5体を展示します。デザインと制作をコラボーレションしたのは、2023年に22歳という若さでパリコレクションデビューを果たした、古着や古布を新しい洋服にリメイクして提供するアーティスト集団「再倖築」。そのメンバーに今回の制作秘話や作品に込めた思いなどを聞きました。

「再倖築」Profile

リーダーの田尻永太が服飾専門学校に通っていた頃、古着屋でリメイク服に出会ったのをきっかけに古着のリメイクを始め、卒業制作展で発表したところ評判が良かったため2021年にブランドを設立。そんな田尻が作った服が、あるファッションインフルエンサーの心を捉えてSNSでバズり、ヒットしたのを機に仲間を集める。現在メンバーは6人。制作は田尻と西澤光太郎、阿部優夢の3人で行っている。独特の世界観がある服はスタイリストにファンが多く、数々のミュージシャンやタレントが衣装として着用している。

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(左から)
渋川創一郎(マネージャー)、西澤光太郎
田尻永太(リーダー)、阿部優夢

「再倖築」の理念を教えてください。

田尻:一般的な服は着方がある程度決まっています。そんな中、「ここから首を出してもいいし、ここから袖を通してもいいんだよ」と、これまでの固定概念を覆して今までにない服や着方を再構築して提案し続けるというのが僕たちのブランドのコンセプトです。専門学校に通っていた頃、ある先生の「服は肩にかかっていれば、それ以外にルールはない」という言葉を聞き、服のことをもっとラフに考えたら、いろいろと新しいことが生み出せるなと考えるようになったのが、そのコンセプトにつながっています。
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阪急うめだ本店からオートクチュールの制作依頼が来たとき、どのように思われましたか。不安はありませんでしたか。

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田尻:阪急うめだ本店はファッションに携わる人間として憧れの場でもあるので、お声がけしてくださったときは素直にうれしかったですね。コンコースを歩く多くの人に足を止めて見ていただけるような、インパクトのある作品を作ろうと思いました。
西澤:みんなポジティブなので不安はなく、「やってやろう」と士気が上がっていました。前例のない作品を作ることになりましたが、自分たちが納得できる作品に仕上げることができて満足しています。

今回、店舗で使わなくなって捨てられようとしている素材を使っていただいたのですが、サステナビリティについてどのように考えていますか。

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田尻:僕たちは一度着た古着や古布をリメイクして新たな洋服を生み出しているので、基本的にサステナビリティは意識しています。リメイクはブランドの武器であり理想の服を作るための手段ですが、リメイク服を作ることで今問題になっているアパレルゴミを減らして環境への負担軽減にも貢献できていると思うし、それを今後も続けていきたいです。
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普段とは違う針の通らない素材を使って作品を作っていただいたのですが、実際にやってみていかがでしたか。

阿部:いくつか用意していただいた素材から古本とハンガー、人工芝、ビニール、傘を選びました。それらをテープで貼り付けたりボンドでくっつけたりして完成させていったんです。
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渋川:ハンガーをたくさん使った作品は結束バンドでつなげています。
田尻:どうテープを貼るのか、どこに結束バンドを巻くのかといった計算をしながら制作しなくてはならなかったので、この経験によって自分たちはかなりレベルアップできたと感じているんです。今後のクリエーションにも間違いなく生きてきますね。完成した作品は、これまでの「再倖築」のカラーとは違います。僕たちの感性で、捨てられようとしていた針の通らないものをリメイクしたらこうなりましたという化学反応を、ぜひご覧いただきたいです。

最後に、今回のオートクチュールに込めた思いをお聞かせください。

田尻:捨てられようとしていたものというと不必要なもの、汚いものというマイナスなイメージを持つ方が多いと思うので、「廃材をいかに素敵なものに変えるか」ということを意識して作りました。今回の作品は服というより、もはやアートなのですが、廃材もこういう使い方があるんだ、アート作品になり得るんだということを感じていただきたいです。そして作品を見て心が洗われるような気持ちになっていただけるとうれしいですね。
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メイキングムービー

コンコースウインドーのご紹介

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デニム、チェックシャツ、ウールジャケット、バンダナなど様々な種類の古着をツギハギし重ねていくことで、1枚のお洒落なドレスに変身。多種多様な古布の素材感の違いがユニークで、デザインにも活かさせています。好きなものを自由に着ることを楽しむ女性像をイメージしました。
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壊れて使われなくなったビニール傘も、すべて阪急うめだ本店から出たものです。傘の金属部分とビニールを上手くアレンジし、ボリューム感がゴージャスで迫力のあるオートクチュールに。独自の個性を持ち、発想力の豊かな女性像をイメージしました。
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使わなくなったプラスチックの黒ハンガーのみを使用し、ひとつずつ丁寧に結合させて出来上がったアートピース。メカニックであり、さらにパンクな印象も与える漆黒のオートクチュールは力強く生きる女性像を感じさせる1着です。

CREDIT

  • Creative Director

    堤 道子 Michiko Tsutsumi

  • Art Director

    石橋 光太郎 Kotaro Ishibashi

    増田 総成 Fusanari Masuda

  • Production Manager

    浜 龍之介 Ryunosuke Hama

  • Photographer

    花房 遼 Ryo Hanabusa

  • Stylist

    タカハシ エイジ Eiji Takahashi

  • Hair stylist and Headpiece

    光﨑 邦生 Kunio Kohzaki

  • Makeup

    JURI YAMANAKA Juri Yamanaka

  • Videographer

    丹波 おさむ Osamu Tamba

  • Retoucher

    尾堂 萌実 Moemi Odo

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