
今年も、そろりそろりと年末が近づいてきた。やり残したことに追われる焦りと、新しい年への期待――ふたつがせめぎ合いながら毎日が過ぎゆく12月には、「師走」の呼び名がぴったりだ。師だけでなく、誰もが走っている。お歳暮やクリスマスプレゼントを選びに百貨店に行かなきゃ。今年こそ段取りよく大掃除を進めよう。仕事もキリのいいところまで終わらせたい。来年への布石も打ちたいな――
師走を目前に控え、ふと考える。もし「チャンスの神様」がいるとしたら、これから1か月はきっと大忙しの時期なのではないかしら。
チャンスの神様とは、ギリシャ神話の「時」「好機」の神・カイロスのこと。カイロスの両足には翼が生えていて、高速で移動する。だから、カイロスを引き留めたければ、通り過ぎる前に手を伸ばし、前髪をつかむしかない。転じて、西洋では「Seize the fortune by the forelock(幸運の前髪をつかめ)」ということわざになっているらしい。(ヨーロッパ諸語では「好機」が女性名詞だからか、「チャンスの女神」と描かれていることも多い)
誰にとっても否応なく1年の区切りとなる、師走の1ヶ月。チャンスの神様は、今年を振り返るひとには肩を軽くたたいて「来年はどうしたい?」と尋ね、新しい年に向けて「変わりたい」「始めたい」を心に抱くひとには耳元で「すてきな決意だ」とささやいて、あちらこちらを高速ダッシュで駆け巡るのだろう。文字どおり、髪を振り乱して。木枯らしを浴びて髪は絡まるし、ときには、逃すまいと前髪をグワッと掴まれることもあるかもしれない。
そんなご多忙なチャンスの神様に、ひとつ、贈りものをしたい。
それは、24Kメッキの金色のピンが輝くヘアブラシ。まず、手にしっくり馴染む木の柄をとおして静かに伝わってくる重みが心地いい。髪を梳かすたび、金色のピンが頭皮をなぞってほぐしてくれる。まるで滞っていた思考までゆるやかに流れ出していくよう。肩に入っていた力が抜け、呼吸が深くなる。頭皮をほぐすという行為は、じつは心をほぐすことでもあるみたい。だから、「前髪だけじゃなくて、頭全体をブラッシングしてくださいね」とメッセージカードを付けよう。
毎日、ほんの数分でいい。チャンスの神様にも、ブラシを通しながら静かに頭をいたわる時間をもってもらえたらいいな。金色のピンが頭皮をやさしく刺激するたび、眉間の皺が、目の奥の疲れが、頭のコリが癒えていくのを感じてほしい。髪がふわりと立ち上がるころには、きっと、緊張でこわばったり疲労でぼんやりしていた顔の輪郭が、すっきり晴れやかになっていることでしょう。
軽やかな心と頭で、チャンスに気づく力と、瞬時に手を伸ばす勇気を――僭越ながら、チャンスの神様ご自身もどうかすてきなチャンスに巡り会えますように。
本記事に掲載の商品は、阪急百貨店・阪神百貨店のリモートショッピングサービス「Remo Order(リモオーダー)」にて、ご自宅や外出先からスマートフォンでご注文いただけます。
Remo Order(リモオーダー)についての詳細はこちら
※掲載商品は、予告なく売り切れや仕様変更、販売終了となる場合がございます。あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。