「走れメロス」。太宰治のこの作品名を聞くと、「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した」という冒頭のフレーズとともに、必死に走るメロスの姿を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。濁流に揉まれたり山賊に遭ったりしながらも、とにかく走り続けるメロス。疲れもあっただろう。諦めてしまおうかと迷う瞬間もあったかもしれない。それでもメロスが走ることをやめず、王様との約束の時間ギリギリに戻ってくることができたのは、彼に「どうしても叶えたいこと」があったからだ。親友セリヌンティウスを救う。その決意がメロスの足を動かし続けた。
叶えたい。でも、叶うだろうか。もうすぐ春。メロスほど鬼気迫るものではないにせよ、わたしたちも新生活を迎えるとき、希望と不安のはざまで揺れながら新たな道を走りだす物語の主人公になる。仕事・学校・家庭……環境の変化に身体と心を馴染ませようと自分なりのペースで前進するわけだけれど、道は必ずしも平坦ではない。身のまわり360度が新鮮で刺激的な一方で、つい気を張りすぎてしまいがち。プレッシャーや悩みが心を縛りつけ、しだいに身体まで重くなり、一歩を踏み出すのが億劫になってしまうこともあるかもしれない。
そんな新生活の始まりこそ、「軽やかでいること」を意識してみたい。軽やかさとは、何も考えずにただ流されることではない。むしろ、自分の心や身体が囚われている「縛り」に気づき、ほどいていくことなんじゃないだろうか。「できないこと」よりも「できること」に目を向けて、「まあ、なんとかなるさ」と肩の力を抜く。起こしてしまった失敗も、自分を物語の主人公に仮置きしたら「これが未来の伏線になるのかも」と受け入れやすい。メロスだって、もしも「できない」に囚われていたら濁流を渡ることなんてできなかったと思う。
それでは、どうやって「軽やかさ」を心と身体にインストールしようか。ここはひとつ、比喩ではなく、メロスにならってほんとうに走ってみるのはどうだろう。右足、左足、右足、左足……一定のリズムで走りながら呼吸を深めていくと、気分を高揚させるエンドルフィンというホルモンが脳から分泌されるという。全身運動は、心や身体の「縛り」をスルスルとほどくストレス軽減効果も期待できる。足元を「On(オン)」のランニングシューズにすると、より軽やかになれるかもしれない。「On」のシューズはCloudTec®という独自のソール構造をしていて、まるで「雲の上を走る」ような走り心地を味わわせてくれるからだ。ソールのクッションが、次の一歩を押し出す推進力を生み出してくれる。身体も心も、前へ、前へ。
「必ず親友を助ける」を叶えるために走りきったメロス。叶えたいことがある、希望いっぱいのわたしたちの新生活。疲れや迷い、トラブルに見舞われて思うように前に進めないこともあるだろう。そんなときはぜひ、どんなときも足を止めなかったメロスを心のなかでイメージしながら走ってみよう。一歩踏み出すたびに、足取りを重たくしていた心身の「縛り」がほどけていく。この一歩が次の一歩の推進力になる。雲の上を走る感覚の「On」のシューズなら、なおさら実感できるだろう。次の一歩、またその次の一歩を踏み出し続ける。足を止めなければ、きっと想いは叶う。