海や山をいつも感じる暮らしのフロア 本館6階 Feel the Wind

2024.10.30

ちょっとだけ、よそ行き。

たとえば、旧友とひさしぶりのランチに行く日。仕事であたらしいプロジェクトがはじまる日。気分一新したくてひとりでまちに繰り出す日。昨日と地続きの「今日」だけれど、昨日よりも少しだけ、背筋を伸ばして過ごしたい。そんな日が、時折わたしの暮らしにやってくる。

その日を迎えたわたしは、「いい靴はいい場所に連れていってくれる」というヨーロッパの古いことわざよろしく、「今日がいい日になりますように」の願いを込めてクローゼットから服を取りだす。普段とは一味違う「今日」を過ごすための、心の準備と期待感。気持ちがあらたまる。あからさまに着飾るわけではないけれど、「ちょっとだけ、よそ行き」のわたしが誕生する。

よそ行きのファッションには、アクセサリーも欠かせない。ふーむ、今日は何をつけようかしら。アクセサリーを選ぶ眼差しもいつもよりもすこし丁寧になる。

引き出しを開けると、ひとつのコサージュが目に留まった。ぬくもりがある風合いの、草木染めのコサージュ。コサージュというと結婚式や入学式といったハレの日のイメージがあるけれど、これは、素朴なカラーがそう感じさせるのか、それとも手仕事らしい一点ものの佇まいゆえか、華々しさよりも穏やかさを纏っている。はやる気持ちを落ち着かせたくて選んだシンプルな白いブラウスにつけてみると、装いがまろやかにクラスアップした……気がする。うん、やっぱり。ハレの日だけじゃなくて「ちょっとだけ、よそ行き」にもぴったりのアイテムだわ、草木染めのコサージュ。

草木染めとは、植物や果物、野菜などから取り出した染料で布や糸を染める染色方法のこと。つくられた色ではなく自然からいただいた色だから、花(コサージュ)を身につけるという晴れやかさをちょうどよく「暮らし」に馴染ませてくれるのかもしれない。

靴を履き、玄関の全身鏡に映る自分を眺める。「ちょっとだけ、よそ行き」の姿に背筋が伸びる。目をひくのは、やはり胸のコサージュ。この花(コサージュ)がもしかしたら出かけた先で会話の種になってくれるかもしれないことを、わたしは知っている。これまでも幾度となく、お会いした相手やお店のひとに「素敵ね」「それどこの?」と訊かれて、そこからおしゃべりの花が咲いたことがあったから。たのしいおしゃべりは、心をカラフルに、軽やかにする。

今日はいい日になりそう。行ってきます!

まちのシューレKOBE  Veriteco コサージュ
7,700円(税込)〜
【まちのシューレKOBE】
香川県高松市に本店をかまえる「まちのシューレ963」の県外初出店となるショップ。ふだん接客をしているスタッフが生産者のもとへ足を運んで買い付けをおこなっている。「シューレ」はドイツ語で「学校」や「学び」を意味する言葉で、「暮らしにあるとうれしいモノ」を集めた店内は、まるで衣食住というライフスタイルの学び場のよう。
【Veriteco コサージュ】
瀬戸内に浮かぶ香川県豊島に移り住み、ハーブ園や畑に種を蒔き、育てた花や藍などの天然素材で糸や生地を染める「Veriteco」(ヴェリテコ)。草木染めの素材を使い、身近な花や木の実などをモチーフにしたコサージュは、素朴な色合いで特別な時はもちろん、普段使いにも。
■売場
本館6階 まちのシューレKOBE
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