海や山をいつも感じる暮らしのフロア 本館6階 Feel the Wind

2024.09.30

お付き合いを、アップデートしながら。

『測量野帳』というミニノートを使い始めて10余年になる。さらっとした紙質で、ペンを走らせやすい。机の上に広げると、横置きしたB5用紙よりもコンパクトなサイズ感。この原稿を書いている今も、ノートパソコンの手前にすっぽりと収まっている。1冊70gと、見た目に違わず軽量でもある。きゅうり1本と同じほどの重さらしい。わたしは外出先で仕事をすることも多いのだけど、きゅうり1本なら荷物の量としてほとんど負担にならない。加えてハードカバーなので、バッグの中でくしゃっと折れ曲がる心配も少ない。同じ野菜でも、トマトはやさしく扱わないとすぐに潰れてしまうもの。そのあたりもきゅうりっぽいかもしれない。ちなみに、このノートの定番の表紙は緑色である。

測量野帳はもともと、測量士が屋外で立ったまま筆記できるようにと開発されたノートだ。発売は1959年。以来、その使いやすさと頑丈さによって、建設現場を飛び出して個人のライフシーンにまで愛用者が広がっている。

わたしのおもな使いみちは、打ち合わせでメモをとったり、デスクワークで頭の中を書き(描き)出したりするキャンバスとして。移動中に立ち寄ったカフェの小さなテーブルで、パソコン作業をする時間やスペースがないときも、測量野帳ならさっと広げて書きつけられる。なにしろ持ち歩きやすいので、子どもが小さい頃は、お出かけ時の落書きノートとしても大活躍していた。

暮らしの道具になった仕事現場発祥のモノって、見渡すとけっこう存在する。たとえば、デニム。アメリカでゴールドラッシュの時代に、過酷な労働環境にも耐えられる作業着として誕生し、重宝された。それが1950年代ごろから若者文化のアイコンとして広まり、今では定番のファッションアイテムだ。

まちに一日出かけて、デニムを履いた人を一人も見かけない日はない。「人生で一度もデニムに足を通したことがない」という人も、おそらくいないだろう。とはいえ、さまざまなライフスタイルに、シーンに、すうっと馴染むアイテムだからこそ、デニムとの付き合い方は人それぞれ。どんなデニムを履くかも、履く頻度も、何枚持っているかも、十人十色だ。

わたし自身も振り返ると、好んで履くデニムはいろいろと変遷してきた。学生時代は元気よくローライズデニム、会社員時代はスキニーデニムでオフィスカジュアルに、子育て期は外遊びで身軽に動けるようにボーイフレンドデニム……などなど。子育てがひと段落した今は、身体のラインを拾いすぎない、すこし緩めのストレートデニムが気分。長らくデニムといえばTシャツとスニーカーで済ませることが多かった反動か、最近はブラウスとパンプスを合わせたエレガントな装いで、友人とお茶やランチに繰り出したい。

仕事現場から暮らしへ。シンプルな実用性がつくりだす、「ちょうどいい」の度量の広さ。アメリカでゴールドラッシュの時代に作業着として生まれたデニムは、150年のときを経て、わたしの大人のランチ会に出かけるおしゃれ着に。そのときどきのライフスタイルに「ちょうどいい」かたちでフィットしてくれるデニム。これからもずっと、「ちょうどいい」関係をアップデートしながらお付き合いしていきたい。

RED CARD TOKYO デニムパンツ  「One-Day」
23,100円(税込)
RED CARD TOKYOは、日本のデニムブランド。単なるワークウェアとしてのデニムとは真逆の発想を持ち、きめ細やかな日本の感性が生み出した「進化版REAL DENIM」を提案している。デニムパンツ「One-Day」は、程よいワイド感でリラックスした雰囲気を持ちながら、フェミニンなフィットが特徴で足長効果を一層強めたルーズストレート。ウエストのくびれやヒップの丸みをよりすっきりとした上でレングスを長めに設定している。
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