宇多田ヒカルのアルバム『Fantôme』(2016年)に、『俺の彼女』という曲が収録されている。曲のはじめから終わりまで、“俺”と“彼女”が交互にモノローグ形式で胸の内を明かしていく。
先頭をきるのは、“俺”による「俺の彼女はそこそこ美人 愛想もいい 気の利く子だと仲間内でも評判だし」。こんなふうな絶妙に鼻につく彼女自慢がひたすら続くのだが、じつはこの“俺”、終わりの方で「俺には夢がない 望みは現状維持 いつしか飽きるだろう つまらない俺に」と怯えていることが明らかになる。一方の“彼女”は、そんな“俺”の虚勢をもちろんお見通し。“彼女”は“彼女”で、お互いもっとさらけだして“俺”とわかり合いたいのに、「面倒と思われたくない」から「あなた好みの強い女」を演じてしまう。「本当に欲しいもの欲しがる勇気」を持てず、身悶えている。
まずもって“俺”と“彼女”を歌い分ける宇多田ヒカルのカラフルな声色に聴き入って、何度もリピートしてしまう一曲なのだけど、“俺”と“彼女”それぞれが抱えている「こわい」という感情は、なにも恋愛関係に限ったものではないなぁと思う。たとえば、志あるひとと仕事をご一緒するとき、あこがれていたひとにお会いするとき、背伸びした場所を訪れるとき。自分のなかの、虚勢を張ってしまう脆さや受け身で待ってしまう弱気が、ひょっこりと顔を出した経験をもつひとは多いのではないでしょうか。
わたしは『俺の彼女』を聴くたび、脆い自分、弱気な自分がぐらんぐらん揺さぶられる。あのときわかったふうなことを口走ったけど、きっとあのひとには見抜かれていたんだろうな、とか。あの日あのときあの場所でもう一歩踏み込んでいたら、違う結果だったかもしれないな、とか。今も、ともすればこのエッセイに含蓄のある言葉を書きたがる自分とたたかっている。えーい、鎮まれ。
虚勢を張ったり受け身でやり過ごそうとしてしまうのは、決まって自信がないときだ。自分がどうしたいのか、どうなりたいのか、といったゴールが定まっていないとき。ゴールは見えていても、突き進む覚悟が整っていないとき。いや、定まっていない・整っていないという事実じゃないな。定めることから、整えることからのらりくらり逃げ惑っている後ろめたさが、そういう態度を肥大化させるんじゃないかしら。
だとすれば、「わたし、今、後ろめたいんだな」「向き合うことから逃げているな」と気づくこと、そこから軌道修正することが、虚勢の底にある恐怖心や受け身が招く後悔をやわらげてくれるはず。身近に「ポリシーを持って立ち向かっている存在」があると、きっと、怖気づいている自分に気づくきっかけになったり、必要なことに向き合う後押しになったりしてくれるだろう。
ポリシーを持つのは、なにも人間だけではない。当たり前だが、商品やブランドにもポリシーは必要だ。
フランス発オーガニックコスメの『absolution(アブソリュション)』は、まさにポリシーを持って邁進しているブランド。全製品がオーガニック製品の国際的な認証を受けているほか、動物実験をおこなわない、ボトルやチューブもリサイクル可能な素材を徹底して採用する、包装に箱も糊も使用しない……など、肌のケア効果に加えて、健康や地球環境にも配慮したサステナブルなアイテムづくりに妥協がない。それでいて、説明書も兼ねた組み立て式のパッケージは、機能的だし、シンプル&おしゃれ!
定番商品のミストローション『ブリュム システミック』は、スキンケアのほか、リフレッシュにもおすすめだ。声高に「俺の彼女は~」と無用な虚勢を張りたくなっちゃったとき、気持ちに蓋をして「あなた好みの強い女」をつい演じてしまいそうになったときに、シュッとひと吹きすると、「いやいや、そうじゃないわ」と我に返る後押しをしてくれるかもしれない。