進学した大学の近くを流れる川沿いは、関西屈指のお花見スポットだった。場所柄、新歓コンパといえばお花見が定番。いや、お花見の体裁をとった新歓コンパと表現するのが正しいかしら。わたしも周囲もさほど桜を見上げてなんていなかったし。大きく敷かれたブルーシートは桜の花びらの淡さと不釣り合いにビビッドで、さぞ情緒を台無しにしていたことだろう。でも、その無節操さや、大学1回生の入学直後にその日友だちになったような同級生とエイッとお花見に飛び込む無鉄砲さが「青春」というものだろうし、何か芽吹きたくなる高揚感が「春」にはある。
「花冷え」ということばもあるように、お花見の時期は意外と寒空になりやすい。気温はそこまで低くなくても、風の冷たさが身にこたえることもままある。陽が暮れたらなおさらだ。「青春」に忙しかった頃はブルーシート越しに伝わってくる冷気をも「おしゃれは我慢」で跳ねのけていたが、年齢を重ねた今はそうもいかない。お花見という風流な場で、おしゃれも寒さも我慢したくない。
淡めカラーで、ハイウエストのメンズライクなジーンズ。これが、大学生から社会人、そして子連れのお花見を経て、わたしがたどり着いたお花見ボトムスの最適解の一つ。生地に厚みがあるジーンズも、明るく柔らかい色合いのものにすると一気に春らしく装える。ハイウエストを選ぶのは、腰回りを温かく保つため。しゃがんで肌が見えるのは抵抗があるというのもあるけれど、その前に腰が冷えて腰痛や腹痛に遭うのがつらいし、堪えている時間がもったいない。防げるものは防がなくては。
そして何より、動きやすさ。ジーンズはその生地の固さから、立ち座りがしにくかったり、長時間座っているのが窮屈になったりしがちだ。少しでも履いていてラクなジーンズを探していて出会ったのが、YANUKのJOAN。メンズライクで太めのデザインだから、座っていても膝が疲れにくい。単に太いだけではなく後ろ姿のラインがきれいなので、お花見というハレの場でのおしゃれ欲を満たしてくれる。もちろん、ハイウエスト。
お花見でからだが冷えるのは、気温や風のせいもあるけれど、底冷えも大きい。ボトムスとともに、ぜひ敷物でも防寒を。数年前、畳屋さんから譲ってもらったゴザ(使い古した畳面)をブルーシートの代わりに敷いたら、見た目にも風情がでて、多少のクッション性があるせいか、ブルーシートの上にいるよりも大幅に暖かかった。
今年も春がやってくる。おしゃれにあたたかく、お花見をたのしみたい。