愛が溢れるほどに満ちた暮らしのフロア 本館5階 Affection for Life

2026.02.27

食(しょく)よ、人の望みの喜びよ。

我が家の中学生の娘はいわゆるスマホ世代だが、それを言うなら、娘が生まれる前からスマートフォンを手にしているわたしはスマホママだ。機種変更のたびにデータを引き継いで、出産前のわたしのお腹から、生まれた直後に体重計に乗せられている娘、そして今日に至るまで何百枚、何千枚と撮り溜めた家族の写真や動画が、手元にあるスマートフォン1台に収まっている。

おかげで、家族で食事に出かけて料理が出てくるのを待つあいだに、娘が「昔の写真見たーい」と言いだし、わたしのスマートフォンをテーブルの真ん中に置いて、即席思い出鑑賞会がはじまることがままある。先日は、娘が生後半年ごろの写真を振り返り、そのなかに、夫が娘に離乳食をあげているシーンがあった。1枚目はベビーチェアに座る娘(おすまし顔)とその前におかゆが入ったお皿、2枚目は小さなスプーンで娘(しかめっ面)の口におかゆを運ぶ夫、3枚目はペーッとおかゆを吐き出す娘が写っていた。

写真をめくりながら「おなかすいたぁ。はやくお料理こないかな」とつぶやく娘に、「赤ちゃんの君は口を真一文字に結んで、ママのおかゆを拒否していたけどね」と茶化す夫。娘は「離乳食を食べるために生きてたわけじゃないから」と、生意気な顔で言い返した。学校の英語の授業で「Eat to live, not live to eat」というイギリスのことわざを習ったらしい。食べるために生きるのではない、生きるために食べなさい――目的と手段を履き違えてはいけないという戒めなのだそうだ。

中学生らしい憎らしい言い方ではあるけれど、「せっかく作ったのに、なんで食べてくれないの!」を繰り返していたわたしは、チクリと胸が痛んだ。赤ちゃんの「食べる」は想像していたよりもずっと不確かで、ある日はぱくぱく食べ、ある日はスプーンを拒む。どれくらいの固さがいいのか、どれくらいの量なら食べられるのか。彼女の気まぐれの前では、親の試行錯誤や計画なんて無力だった。口をあけて、もぐもぐ、ごっくん。「食べてくれない」が続いたあとの「食べた!」は、舞い上がるほど嬉しかったのを憶えている。そのときの再現VTRを作るとしたら、バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』をBGMにつけたいところだ。

もちろん、離乳食を単に「食べる」だけの営みにしていたわけでもなかった。あの頃の食卓には、栄養学や月齢表では測りきれないものが満ちていた。スプーン片手に声をかけ、笑い、困った顔をする大人たち。その中心にまだ言葉を持たない娘がいて、ひとさじのおかゆに家族の視線が自然と集まる。あれはきっと、「あなたのための食事を用意した」を通して、娘に「あなたは大切な存在だよ」と伝え、同じ時間を分かち合おうとしていたのだろう。

当時のわたしは、素材のおいしさを娘に知ってほしくて、食材選びから調理法まで肩に力が入っていた。その時間が無意味だったとは思わない。ただ、「食べてくれた!」という喜びが「あなたのための食事を用意した」母の行為からスタートするなら、手作りに固執しなくても、もっともっとベビーフードに頼っても、よかったはず。安心・安全な食材を用いた素朴な市販品も、探せばあっただろう。たとえば、「manma(マンマ)」のような。manmaは、契約農家から仕入れた旬の野菜をそのまんま使用したベビーフードだ。

もし、今あらためて離乳食期の赤ちゃんのママをすることになったら、「せっかく作ったのに……!」に陥りそうになったときのおまもりに、manmaを買い置きしておこう。バッハが『主よ、人の望みの喜びよ』で軽やかにイエス・キリストを讃えたように、わたしも心地よく離乳食に向き合いたい。

人は、生きるために食べる。そして、大切な誰かと生きるためにも、食べる。口を真一文字に結んで離乳食を拒んでいた小さな命も、すくすく育って、今ではそんな自分の姿を「かわいい~」と笑いながら家族とテーブルを囲んで、「食べる」の喜びのなかを生きている。食(しょく)よ、人の望みの喜びよ。

manma 四季のベビーフード
白がゆ(5ヶ月・7ヶ月・9ヶ月・12ヶ月)
431円(税込)~
なめらかうらごし(5ヶ月)
491円(税込)
おじや(7ヶ月・9ヶ月・12ヶ月)
521円(税込)~
おかず(7ヶ月・9ヶ月・12ヶ月)
531円(税込)~
ぷらすのおかず(7ヶ月・9ヶ月・12ヶ月)
540円(税込)~
主に滋賀県産の旬の野菜やお米を使用したベビーフード。「野菜のおいしさを赤ちゃんに」をコンセプトに、野菜とお米は生産者に会いに行ける距離の畑と田んぼから、魚や肉は県内外から直送で受け取っている。1パックに使う野菜は1〜3種類に限定して味が飛ばないよう調理するなど、食事の「はじめて」の記憶がつくられる離乳食初期〜完了期に素材の味をきちんと伝える工夫を重ねている。「ぷらすのおかず」には不足しがちな鉄とカルシウムを強化、それ以外のシリーズは食品添加物不使用。すべてmanma専用の自社工場で生産しており、アレルギー特定原材料8品目は、不使用に加えて、工場内への持ち込みもおこなわないように徹底している。
■売場
本館5階 マム&ベビーセレクト
フロアマップ

本記事に掲載の商品は、阪急百貨店・阪神百貨店のリモートショッピングサービス「Remo Order(リモオーダー)」にて、ご自宅や外出先からスマートフォンでご注文いただけます。

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