愛が溢れるほどに満ちた暮らしのフロア 本館5階 Affection for Life

2025.10.31

おしゃれ、だけじゃないトラッド。

玄関のドアを開けるとムワ~ッ、口を開けばアツ~ッな夏も過ぎゆき、すっかりカラリとした風が気持ちいい季節になった。秋の気配が漂いはじめて、わたしは、暑さのなかでできるだけ身軽でいたいと願っていたのから一転、おしゃれ心がむくむくと膨らんでくる。

夏の盛りに選ぶ服は、どうしても機能性を優先してしまう。汗を吸ってすぐ乾く素材、洗濯機にかけてもへたらないTシャツ、子どもの公園あそびや水あそびに気軽に付き合えるラフなパンツ。色や形に多少の妥協はあっても、「快適に動けること」が第一条件になる。おしゃれ心と実用性の天秤は、否応なく後者に傾いていた。

天秤の傾きが変わったのは、暮らしのリズムの変化によるところも大きい。夏休みのあいだは子どもと一緒に過ごす時間が増え、毎日がにぎやかで少し自由奔放。それが、新学期が始まって、日々はふたたび規則正しい時間割の上にかたちを取り戻した。道ゆく制服姿の中高生も、いまや長袖に衣替えを終えている。そういった切り替えに触れて、自分の服装にも「きちんと感」を取り入れたいなと気持ちが移ろいだ。きちんと、おしゃれに。そして、おしゃれに、きちんと。

「きちんと感」といえば、トラッドファッションじゃないかしら。トラッドファッションの源流は、イギリスのパブリックスクールやアメリカ東部のアイビーリーグ。そこでは制服やドレスコードが日常に根づいて、服装そのものが、規律を守ることの象徴だった。丁寧に仕立てられたシャツの襟を正し、タータンチェックのスカートを合わせると、単におしゃれをしているのではなく、自分もその「きちんと」の流れのなかに身を置いている感覚になり、自然と背筋が伸びる。

たとえば、スポーティーでありながら英国らしいキリッとしたムードが漂うフレッドペリーのポロシャツは、週末の公園で子どもと過ごすときにも、学校行事や保護者会といった少し改まった場にも、しなやかに対応してくれる。タータンチェックが美しいオニール オブ ダブリンの巻きスカートは、歩くたびに軽やかに揺れ、クラシックでありながら女性らしい自由さを添えてくれる。

フレッドペリーのポロシャツも、オニール オブ ダブリンの巻きスカートも、流行の移り変わりに左右されず、世代を超えて数多のひとに着られてきたアイテムだ。実家のリビングでアルバムをめくれば、旅行先での記念写真で、幼き日のわたしの隣で若き日の母がタータンチェックの巻きスカートを履いて微笑んでいる。「お母さん、このスカートまだ持ってる? わたしも履きたいな」と聞いたら「もう入らなくなっちゃったから、ずいぶん前にバザーに出したわよ」と言われたけれど、裾をキルトピンで留めた巻きスカートの魅力は、何十年たっても薄れていない。

端正なデザインのトラッドファッションは、いまこの瞬間も現役の「おしゃれ」だ。でも、それだけじゃない。一時的な演出ではなくて、長く受け継がれてきた時間が、クラシックな襟元や上質なウールの手触りの「きちんと感」を織りなしている。

ファッションは、気分を切り替えるスイッチになってくれる。トラッドな装いで、夏にゆるんだ分を「きちんと」に揺り戻そうっと。

FRED PERRY (フレッドペリー)
ポロシャツ  17,600円(税込)
1952年に元テニス王者フレッド・ペリーによって設立された、イギリスのオーセンティックなファッションブランド。月桂樹のロゴとシンプルながら洗練されたシルエットのフレッドペリーシャツ(ポロシャツ)は、エリザベス女王の目に留まるほどの評判となる。スポーツウェアの機能性とブリティッシュ・トラッドの気品を融合させたデザインが特徴で、ストリートカルチャーや音楽シーンにも支持され、世代を超えて愛されている。
O’Neil of Dublin (オニール オブ ダブリン)
巻きスカート  35,200円(税込)
アイルランドの首都・ダブリンでキルト製品を作り続けている名門ファクトリー。一枚仕立ての巻きスカートは、耐久性とエレガンスを兼ね備えている。流行に左右されない由緒正しいタータンチェックは深い歴史と文化を感じさせ、まさに “本物志向”にふさわしい一着。両脇から後ろにかけてのプリーツ、ベルトやキルトピンなど、細部にまで工夫が施され、見た目の美しさだけでなく着心地や機能性にも配慮されている。
■売場
本館5階 プルアプープ
フロアマップ

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