愛が溢れるほどに満ちた暮らしのフロア 本館5階 Affection for Life

2025.08.29

わたしを救うピンチ。

子育ては「ヒヤリハット」の連続だ。ヒヤリハットは昔働いていたIT業界でよく耳にしたことばで、さいわい事故にはならなかったけれど、「ヒヤリ」としたり「ハッ」とした出来事のこと。1つの大きな事故の裏には、30の小さな事故と、300の「このままだと危なかった」があるのだとか。この数字を目安にしつつ、事故が起きる前にたくさんの小さな「ヒヤリ」「ハッ」に気づいて対策を打っていきましょう、という話だったと記憶している。

1歳になったわが子は、なんでも「ポイポイ」するのがブーム。お気に入りのおもちゃも、スプーンも、そして靴までも。ベビーカーに座らせて出かけると、いつの間にか片足が脱げている――そんなことが何度あっただろう。先日もそうだった。少し涼しくなった夕方、ベビーカーで散歩していたときのこと。ふと子どもの足元に目をやると、右足は靴下、左足には靴。そういえばさっき、足を持ち上げて何やらしていたな。ハッとして振り返ると……あった! そう遠くない向こうに小さな靴がぽつねんと落ちていた。ダッシュをすればすぐの距離だが、一瞬でもベビーカーを道端に置いていくのは怖い。面倒だけれど、ベビーカーごとUターンして取りに行く。「あっ!あっ!」と「ポイ」した靴を見つけて、子どもはうれしそうだ。

靴を拾い上げてふたたび子どもに履かせながら、この「ハッ」の先にはいずれ、「落として失くして出先で困り、新しい靴をしかたなく買うはめになる」という良くない未来が待っているだろうなと頭をよぎった。お、これは大事なヒヤリハット。対策を練らねば。

夜、子どもをトントン寝かしつけながら、頭のなかで対策会議を開く。落とし靴問題でこまっているママって少なくないと思うんだよね。みんなどうしてるんだろう……と考えていたら、児童館でよくお会いするママが、クリップをベビーカーに下げているのを思い出した。児童館から帰るときに、そのクリップ(調べてみると「シューズピンチ」というらしい)にサッとベビーシューズを挟んでいたのだった。ちょこんと揺れる靴、かわいかったなぁ。

しかもそのママのシューズピンチは、ストラップ部分のパーツがニュアンスカラーで、そこもわたしの記憶に強く残っていた。子どもを産んでからというもの、ともすると目が覚めるようなビビッドカラーのベビーグッズに囲まれがちで、子どもの発育を思うともちろんそれが理にかなっているのだけど、なんかこう、わたしの「好き」が置いてきぼりの気持ちになることがある。そんななかで、わたしのためのシューズピンチをわたし好みのニュアンスカラーのものにすることは、「わたしはわたしを二の次にしない」と奮い立たせる宣言になるような気がした。

ベビーカーから時折「ポイ」される靴のヒヤリハットを救う、シューズピンチ。ポイポイの日々はきっと今だけだけど、ただただ目の前のことで精一杯の日々に、自分のために選んだニュアンスカラーのシューズピンチがベビーカーで揺れているのは、愛おしく、そして頼もしい。

リトルビョル 「シューズピンチ」
2,178円(税込)〜
「ちいさな星(little byul)」である赤ちゃんと、その家族のためのベビーグッズブランド。シューズピンチをメインに、ボトルホルダーやマルチストラップなども制作・販売している。ベビーカーやバッグなど好きなところに付けられるシューズピンチは、脱いだ靴をささっと挟むことができ、かわいいストラップが靴の迷子を防いでくれる。
■売場
本館5階 マム&ベビーセレクト
フロアマップ

本記事に掲載の商品は、阪急百貨店・阪神百貨店のリモートショッピングサービス「Remo Order(リモオーダー)」にて、ご自宅や外出先からスマートフォンでご注文いただけます。

記事一覧
前の記事

Read More

Kobe Style World