学生時代や20代の日々、共にバックパック背負ってあちこち旅をした友だちがいる。
とくに思い出深いのはスウェーデンの旅。美しい街並みを何時間も歩き回ったり、蚤の市で掘り出しものを探したり。街を離れて湖畔のサマーハウスで過ごしたピースフルな時間も忘れられない。
かの国で大切にされていたのがFika(フィーカ)と呼ばれるコーヒーブレイクの習慣。朝10時とか午後の3時とか、とにかく1日に何度か、タスクに追われる手を止めて、仕事仲間や家族、友だちとおやつを食べながらおしゃべりを楽しむのだ。それは近所のカフェだったり、オフィスのテーブルだったり、公園のベンチだったり、どこでも。かの国では、大人も子どももリラックス上手。あれもこれもと多くを求めすぎず、足元にある日常の豊かさをちゃんと味わうのだ。
あれから私たちも、それなりに年齢を重ねた。お互い住む町も遠く離れ、それぞれの仕事や家庭で忙しくなって、昔のように気軽に一緒に旅を、というわけにもいかなくなってずいぶん経つ。
そんな矢先、久しぶりに彼女から近況報告が届いた。待ち望んだ赤ちゃん誕生のニュースだ。彼女もママかぁと思うと、何やらジーンとする。「初めての育児に四苦八苦して、毎日ヒーヒー言ってるよ~」と彼女。そうよね、自分のすべてをかけて守らなきゃいけない存在が現れたんだもの。時間もお金も体力も好奇心も、自分のために使えたこれまでとは、180度違う暮らしが始まるのよね。
そんなことを思いながらいそいそとギフト探しに出かけた私。ベビーのために選んだのは、スウェーデンつながりで、ストックホルム生まれのブランド「Elodie(エロディ)」のお食事エプロン。おしゃれにうるさい彼女も、これなら納得だろうな、という北欧風のしゃれた色使いや可愛いシルエットが素敵。さらに、子どもや環境に対する安全性もしっかり考えられているところがいい。畳んで持ち運びやすいので、おうちだけでなく外出先での食事にも活躍まちがいなしだ。こんないでたちでピクニックなんかしたら、きっと可愛いだろうな。
そして彼女には、授乳中であることも考えてノンカフェインのお茶やコーヒーを。
「ねえ、覚えてる?スウェーデンを旅した日のこと。フィーカで食べたシナモンロールの味、懐かしいね。今は忙しい毎日だと思うけれど、日に何度かはほっとひと息つく時間を楽しんでね。そのうち会いに行くから、今度は赤ちゃんも一緒にフィーカしようね!」。
カードにそんなメッセージをしたためて、ギフトボックスにすべり込ませた。