1年365日、毎日三度三度の食事に支えられている私たちの暮らし。特別な日もあれば普通の日もあるけれど、できることなら日々、食卓にいい風景が広がっていてほしいと思う。食卓の風景をつくるのは、何もそこに並ぶ料理だけじゃない。うつわや盛り付けもそうだし、一緒に食べる人の表情や、ともに交わす会話もそうだ。ごちそうが並んでいるかどうかはさほど問題ではない。ちょっとした心づかいで、簡素な一汁一菜の食卓だって、心満たされる風景になる。
そこでものを言うのが、使い心地のよいうつわやカトラリー。誠実につくられた色やかたちや質感は、たとえシンプルに見えても、不思議と「やっぱりこれだよね」という気にさせてくれるし、食事を味わう所作もちょっと丁寧になる気がする。まさに「うつわも味のうち」なのだ。目に心地よく、手や口にふれる感触も好ましいもの。そんなうつわがある食卓の風景を分かち合いたい。大人だけじゃなく、幼い子どもも、みんなで。
そんなわけで、赤ちゃんのためのファースト食器選びにも、手は抜けない。幼稚なプリントの入ったメラミン食器が並んだ食卓は、いい風景とは言いがたいし、かといって割れやすい陶磁器は、見守る大人のヒヤヒヤが増えてしまいそうで、簡単にはおすすめしがたい(誰だって、一緒に食べる人が笑顔でいてくれないと、おいしさが台無しになってしまうもの!)。
そこで、私がベビーを迎えたファミリーに贈りたいのは、とうもろこし由来のプラスチックでできた「iiwan」シリーズ。素材が安心安全であることに加え、カドのないまぁるいラインで、子ども自身が使いやすい設計なのがうれしい。落としても割れないから大人もストレスフリーだし、樹脂製品特有の冷たさを感じさせない質感もいい。天然由来のやさしい色合いも目にやさしく、これなら大人の食器と並んでいても、しっくりなじんでいい風景を作ってくれるというわけ。
食事どき、台布巾で食卓を拭き清め、料理を盛った食器を並べる。家族が揃うのを待って「いただきます」と手を合わせる。そんなあたりまえの風景が、幼い子どもたちの中にも記憶として積み重なっていく。食事とはただ空腹を満たすためのものではなく、目にも舌にも心にも喜ばしいものであるということ。食卓で交わす笑顔や会話もごちそうのうちであるということ。そんな実感から生まれる「食のたしなみ」は、いつか大人になった時に、きっと大いに助けになってくれる。
なーんて、大上段に構えたことを言わずとも、まずは吟味したうつわと一緒に、日々の食卓を親子で楽しむことから始めよう。それは大人から子どもたちに手渡せる、一番大切な贈りものだと思うから。