愛が溢れるほどに満ちた暮らしのフロア 本館5階 Affection for Life

2023.11.28

「おやすみなさい」のお守り

記憶は時間とともに薄れたりするけれど、どこかへ消えてなくなるわけでもない。それは引き出しの奥にしまいこまれた古い手紙のようなもので、普段はその存在すら忘れていても、ふとした拍子に目の前にあらわれて、いつか見た情景をありありと脳裏に再現してくれる。初めての出産・育児には、そんな心の引き出しが開く瞬間がいっぱい詰まっている。わが子を通して、幼かった頃の日々を再び生き直している感じとでもいおうか。

たとえばうちの子は寝つきが悪くて、何かと手がかかる。でも実は幼い頃の私もそうで、眠いのに寝られない「寝ぐずり泣き」で、よく母を困らせていたらしい。おそらく、眠りに引き込まれて意識が遠のいてゆくあの感じに、何か本能的なおそれや不安を感じていたんじゃないかと思うのだ。だから、寝かしつける側になった今、えーんえんと泣くわが子に、かつての自分を重ねてしまう。「ああ、手が焼けるなあ」と思いながらも、「うんうん、わかるよ、私もそうだったよ」と、懐かしいような切ないような感情が滲んでいく。

そんな感情と一緒に、ある日突然思い出したのは、幼い私がねんねの時に握りしめていた、くまの模様のミニブランケットのこと。そういえば母と私の間では、なぜかそのブランケットは「トントン」と呼ばれていた。毎夜、ベッドに潜り込みブランケットに頬ずりするのに合わせて、母が背中をやさしく叩いてくれるのがセットになっていたからかもしれない。肌になじんだ「トントン」の風合いや匂いは、眠りの国にひとり旅立つ不安を、ずいぶん和らげてくれたと思う。

そんなふうに小さな子どもの心の安定を守ってくれるちょっとした布ものを、「セキュリティブランケット」と呼ぶのだと最近になって知った。それは子どもによって、お気に入りのぬいぐるみだったりタオルだったり、いろいろ。幼な子たちは、それぞれのセキュリティブランケットの力を借りて、少しずつ広い世界との付き合い方を学んでいくのだ。

そして今、あの「トントン」2世ともいうべき頼れる存在が、「10mois(ディモワ)」の2WAYスリーパー。ふっくらやわらかな6重織ガーゼでできていて、保温性も吸汗性も優秀。「着るお布団」としてほぼ1年中使えるのだ。使い込んで洗濯を重ねるほどに、空気を含んでふわふわに育っていくのも楽しい。肌も心も包み込むようなこの癒しパワーは、幼い眠りのお供にはうってつけだと思うのだ。

夜20時半。お風呂上がりのホヤホヤした素肌にパジャマとスリーパーを着せたら、わが子をギュッとハグする。これがベッドに入る合図。ねんねはイヤだと多少グズグズ言うのはお決まりだけれど、最近では以前ほど手を焼くこともなくなってきた。かつて自分もそうしてもらったように、背中をトントンやさしく叩きながら、子守唄を口ずさむ。とっておきのセキュリティブランケットに包まれて、次第に目がとろーんとなってゆく。「安心して、ぐっすりおやすみ」。こんな時間の幸せを、私はまた心の引き出しにそっとしまう。

10mois2WAYスリーパー  (アメザイク/NAOMI ITO)
5,940円(税込)
【10mois】
10mois(ディモワ)とは「10ヶ月」を意味するフランス語。新しい命の誕生を心待ちにする妊娠期から、赤ちゃんの誕生と成長を見守る育児期まで、幸せな家族の物語に寄り添うオリジナルウェア&グッズが揃う。
【2WAYスリーパー(NAOMI ITO)】
ふんわりやわらかな6重織ガーゼを活かした、0歳から3歳まで使える「着るお布団」。洗えば洗うほど空気を含んでやわらかく育っていく生地は、古くから木綿織物が盛んな三河地方で培われた技術の賜物。水彩画家・伊藤尚美さんの詩情あふれるタッチを生かしたデザインは、ギフトにも喜ばれそう。
■売場
本館5階 マム&ベビーセレクト
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