近ごろ海外では、「Merry Christmas!」って気軽に言わなくなっているのは知っていますか。「Merry Christmas」ではなく「Happy holidays」と言うのが今流なのですぞ。その理由は、クリスマスは本来キリスト教の行事なので、いろんな宗教の人々が暮らす海外では、キリスト教徒ではないひとにキリスト教のお祝いの言葉をかけるのは押しつけ感があるからということらしい。“メリークリスマス!”ではなく、“ハッピー ホリデーズ!(良い休暇を!)”。それが、クリスマスの新しいお祝いの言葉だ。でも、よくよく考えたら、クリスチャンでなければ、イエスの誕生日を祝うことはないじゃん。って、ことなんだけど(笑)。それは、ないか。だって、みんなクリスマスが大好きですもんね。
ところで、クリスマスといえば思い出すものに、「シュトーレン」と「アドヴェントカレンダー」がある。このふたつの共通点は、なんでしょう。「シュトーレン」はドイツの伝統菓子だ。クリスマスの日が来るのを首を長くして待つ「待降節」の1ヶ月間。このクリスマス前の日曜日4回分の間に、少しずつスライスして食べる習慣がある。その間にシュトーレンの熟成が進み、クリスマスが近づくにつれて味わいが深まっていくのだ。(この、だんだんとクリスマスが近づくにつれて味わいが深まっていくというのが重要なのだ。そう、だんだん、だんだん、とね)
そして、「アドヴェントカレンダー」は言わずと知れた、クリスマスまでの日数を数えるためのカレンダー。12月1日からはじまる25の窓を毎日ひとつずつ開けていくと、中には小さなお菓子などが入っている仕掛けがある。この、毎日、毎日、ひとつだけ開けていくというのが肝ですね。(だんだん、気持ちが盛り上がっていく。そう、だんだん、だんだん、とね)
「シュトーレン」も「アドヴェントカレンダー」も、どちらも一気に楽しまないというところに、人間の気持ちの本音が見える大袈裟だなあ 笑)。そう、お楽しみは、これからだ。お楽しみは、あとにとって置こう。と、いう精神。それは、好きなもの、欲しいものは、ゆっくりと楽しもうということ。“だんだん、だんだん”の精神には、クリスマスの楽しみ方の本質があるのではないかしら。
クリスマスの楽しみというものは、イブとクリスマスの2日間だけのものではない。12月になると、こころのジングルベルが鳴りはじめる。ジングル、ジングル、ジングル♩と。12月25日に向けて、だんだん、だんだん、鈴の音が大きくなっていく。ちなみにジングルとは英語で鈴などの音色を示す擬音のこと。さあ…クリスマスシーズンだよ♩…。さあ…クリスマスシーズンだよ♩…と、告げるじぶんからじぶんへの合図の音。その音色は“だんだん、だんだん”と高鳴っていく。その、だんだんと高鳴る音に合わせるように、今日はツリーを出そうかな。明日はワインを買いに行こうかな。明後日はプレゼントを選びに行こう。まちで見つけたオーナメントをつけてみよう。食器を新調しようかしら。思い切ってじぶんへのプレゼントも買っちゃおうかな。ケーキを焼いてみよう。そろそろマリネを漬けておこうかしら。と、いうふうにクリスマスの準備を毎日、毎日少しずつ楽しんでいくことで、楽しみを引き延ばすのではなく、楽しみを大きく、大きく膨らませていこうというわけだ。そう、だんだん、だんだん、と。そして、最後にはダダダダーン♩と、楽しい音付きで弾けちゃおうじゃありませんか!