華やかで洗練された暮らしのフロア 本館4階 Time of Grace

2024.01.30

あれは、幻だったのか。

憧れのひとがいる。そのひとと旅行をするなら、どこがいいだろう。
という書き出しは、冗談だ。そんな冗談を書いちゃっただけで、赤面している。とりあえずツカミということで、忘れてください。
旅のことを書こうと思った。テーマは「イリュージョンの旅」。あるいは「幻想という名の旅」とするのは、どうだろう。英語で「The trip of the illusion」というのも良いな。よし、これにしよう。
日本の中でまだ旅したことがない都道府県は富山県。この、たったひとつだ。じつはまだ旅したことがないのは、ふたつの県だとずっと思い込んでいた。それは、富山県と山梨県。ところが、つい最近、思い出した。中学校の修学旅行は、たしか富士山と東京だったなあ、と。はて?富士山は山梨県?静岡県?
思い立ったが吉日とばかり、さっそくグーグルで調べてみた。富士山とは山梨県と静岡県の両県にまたがる山ということだ。どっちへ行ったのだろう。はたと思い出したのは、富士五湖へ行ったはずだということ。たしか、河口湖じゃないかなあ。調べてみると、富士五湖はすべて山梨県側の富士山麓にあるらしい。この時点で、いまだ未踏の県(この場合、通過しただけではなく、まちへ出てその土地を踏みしめてまちを歩いた県という意味だ)は、富山県だけになった。

富山県は未踏とはいうものの、じつは“通過県”である。以前、金沢で有名な和菓子屋さんの取材をした。そこから次の日は、高山の有名なレストランの取材へと向かう旅だった。富山駅で乗り換えたホームからの風景が脳裏に蘇る。高山線だ。ホームはもう薄暗い。金沢での取材を終え、富山へ移動する間に夕闇が迫って来たのだ。ホームの目の前に広がるのは冬の日本海だ。この時点ですでに記憶が怪しい。ん?富山駅から海が見る?位置的に見えるわけがない。単に記憶違い。記憶の美化だ。
つまり、イリュージョン。錯覚、思い違い。カッコつけて言うなら、幻影、幻想。“幻”だ。ここで思い出したのは、富山湾の名物ともいえる「蜃気楼」の存在だ。富山湾なかでも魚津市の海岸では春(3月下旬)から初夏(6月初旬)にかけて、天気の良い日には海上に蜃気楼が現れる。気温や風によって刻々と変わるので、同じ蜃気楼は2度とみられないと言われる。決まった!「The trip of the illusion.(幻想という名の旅)」。富山県への初の旅行はこの季節だ。幻想的な蜃気楼を見ることで、ワタシの記憶の幻想はピリオドを打つのだ。

その記念にと言ってはなんだが、「イリュージョンフラワー(LIKE WATER)」という花を買おうと思う。花器の中にまるで本物の水が入っているように見える。まるで生花のようなアーティフィシャルフラワー。おめでとう。幻想との別れ。

EMILIO ROBBA
本物と見間違えるようなクオリティを誇るアーティフィシャルフラワーのブランド「エミリオ・ロバ」。花の都パリで生まれ、美しい四季のある国ニッポンで育った。日本から世界へ。三重県名張市のアトリエで熟練の技術者たちの手作業で作品を仕上げている。
イリュージョンフラワー(LIKE WATER)
花器の中にシリコン樹脂を注ぎ、まるで本物の水が入っているかのように見える。“イリュージョン”と称されるように、本物の水かのような幻覚・幻影を生み出す。アーティフィシャルフラワーの可能性を広げた製法。水換え不要で衛生的なので、贈り物にも最適。バレンタインデー、お引っ越しお祝いなどに、いかが。
ファレノプシス(胡蝶蘭)2L-a
33,000円(税込)
■売場
本館4階 グレイスフルテーブル
フロアマップ
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