スポーツの世界に「シルバーコレクター」という言葉がある。ゴールドメダルにはどうしても縁がなくて、シルバーメダルにこよなく愛されてしまう選手のことだ。手が届かないのではなく、縁がないのだ。
シルバーメダル(つまり2位)ばかりということから、ときには「万年2位」などと揶揄されたりもする。でも、別の呼び方がある。「無冠の帝王」という言い方だ。これなら、「万年2位」とはずいぶんニュアンスが違う。なにせ無冠とはいえ帝王だ。最高の実力者と同等のチカラを持っているということ。二番手に甘んじているわけではなく、ゴールドメダルの実力がありながら運や天候、コンディションなどに恵まれなくて泣く泣く優勝の機会を逃している。ちゃんと実力を発揮さえすればゴールドに手が届く。それは負け惜しみではない。頂上はすぐそこ、手の届くところにあるという賞賛の言葉だ。じぶんも今度こそ運を味方につけて、絶対に頂上を!コンディションを最高の状態にして、今度こそは最上位を!「無冠の帝王」には、そんな内に秘めた強い意志を感じる。
スポーツ界に金銀銅の順があるように、貴金属界にも金銀銅という順(価格差)がある。というか、貴金属界の金銀銅が先にありきですよね(笑)。価格や相場ではなくて、銀のちょっと控えめでありながら強い意志を持った心意気というか、その存在感にひかれる。金よりも銀が好きだ。言っておきますが、金(カネ)ではなくて金(キン)だよ。
じつはわたしはシルバーコレクター。時計、指輪、ブレスレット、ピアス、イヤリング、ネックレス、メガネ、ペン。身につけるものをはじめ、どうしても好きなシルバーを選んでしまう。インテリアなどにも、その傾向はある。そんなわけで、多くのシルバーコレクションを持っている。好きだから、大切に仕舞い込んでおくよりもいつでも手にとれる場所に、いちいち取り出さなくても眺められるところに置いておきたい。
その置き場所というのが、ここ。シルバーのトレイの上。シルバーonシルバーというわけだ。地味で控えめなはずのシルバーが、ここにあるとじつに存在感を増す。これは、シルバー同士の相乗効果なのではないかしら。普段は雑然と置いているが、ときにキレイに並べてディスプレイしてみる。夜遅く外出から帰ったときはカラダから外して無造作に投げ出す。酔っ払っているわけではない(どきどき、チョイ酔いだけど)。もしもトレイに傷がついたら嫌なので、小心者のわたしはあくまでもソッと置くんですけどね。夜遅く帰ってきてすぐにベッドに寝転びたいくらい心身ともに疲れていたりすると、時計も指輪もネックレスも、本音はジャラジャラと投げ出したい(笑)。
お出かけ前には、シルバーのトレイの上のシルバーコレクションから時計を選び、それに合わせて指輪やネックレスも選んでトレイに並べてみる。組み合わせが気に入らなければ、別のものを選んで組み合わせに変えてみる。よーし、今日はこの組み合わせだな。と、気分がだんだんあがってくるのです。
シルバーには特長というか弱点がある。空気に触れていると空気中の硫化水素と化合して皮膜が厚くなる。そのせいで色が黒くくすんでくる。でもね、このハヤカワシルバーのトレイは空気中の硫化水素と化合しない。だから、このトレイの上にわたしのシルバーコレクションを置いていると色のくすみに早く気づくことができるのだ。トレイとの色の差でわかる。そうなったら、柔らかい布でキュッキュと磨けば、シルバーの輝きagain!
復活を記念して、紅茶で乾杯!お手入れを楽しんだあとのティータイム。これもシルバーコレクターの楽しみでもあるのだ。ダージリンの上品な香りがわたしの鼻腔をくすぐる。ああ、豊かな時間。