阪急うめだ本店

wishlist interview

阪急うめだ本店のウィンドーを手掛けるデザイナー
亀山和廣・國分寛典 インタビュー

こどもたちへの想いを、ウィンドーに込めて。

阪急うめだ本店前を彩る
巨大ディスプレイ、コンコースウィンドー。
思わず写真に撮りたくなる華やかな装飾や
あっと驚く仕掛けで、
コンコースを通る人たちの目を楽しませています。

4月24日(水)から1階コトコトステージ11と9階阪急うめだギャラリー・アートステージで開催する「~みんなの願いをのせて~ wish list」に合わせて、4月10日(水)から5月6日(月・休)までの約1ヵ月間、
HANKYU×familiarコラボウィンドーを展示します。そのウィンドーを手掛けた二人のデザイナーに、制作秘話や見どころを聞きました。

亀山和廣 國分寛典
(右)亀山和廣
阪急うめだ本店 OMO販売推進部
ストアデザイン部 アートディレクター

コンコースウィンドーが誕生した1972年にデザイナーとして入社。以来、長年にわたって館内やウィンドーの装飾の指揮を執り、阪急百貨店のクリエーションをリードし続けている。

(左)國分寛典
阪急うめだ本店 OMO販売推進部
ストアデザイン部 装飾担当 デザイナー

2022年からウィンドー装飾に携わる。2024年、阪急うめだ本店催事『バレンタインチョコレート博覧会』のウィンドー全面のプランを担当。

wishlist interview

阪急うめだ本店のコンコースウィンドーとは

亀山:コンコースウィンドーは1972年に誕生しました。単なる商品の展示や宣伝にとどまらず、阪急百貨店独自の視点で、メッセージ性のあるウィンドー作りを行っています。最先端の美しい装飾や、ウィンドー内でのパフォーマンスが話題になることも。

國分:コンコースウィンドーの大きな特徴は、高さ4mものウィンドーが全部で7面あるということ。これだけの規模のウィンドーは、全国の百貨店を探しても他にはありません。阪急うめだ本店の顔として、長きにわたって多くの方に親しんでいただいています。

HANKYU×familiarコラボへの想い

亀山:「ファミリア」が初めて出店した百貨店は、阪急うめだ本店でした。「ファミリア」創業2年目となる1951年から長く深いお付き合いが続いています。主婦の方が暮らしの中で思いついたアイデア、たとえば縫い目が肌に当たってチクチクしないような配慮など、様々な工夫が凝らされたこども服は当時めずらしく、そこに魅力を感じて出店をお願いしたのではないかと思います。着る人のことを第一に考えた商品づくりを徹底している「ファミリア」には、常に顧客基点を意識する阪急百貨店として共感をおぼえます。

國分:打ち合わせのために何度か「ファミリア」本社を訪問しましたが、社員の方々がとても親切で、自由に生き生きと働いていらっしゃる姿に感銘を受けました。ワークショップでお子様が描いた絵を、大切に額に入れて壁に飾っていたり、ハギレを色ごとに分類して大切にとっておられたりするのも印象的でした。そんなモノを大切にする想いや、こどものことを考えた丁寧なものづくりといった「ファミリア」らしさをウィンドーに反映できるようにと、制作に取り組みました。

wishlist interview
wishlist interview

ウィンドーのコンセプト

亀山:メインテーマは“未来はHAPPYチェックであふれてる、繋がってる”。チェック柄を象徴モチーフとして使用し、色鮮やかなビジュアルに仕上げました。
また、「ファミリア」が未来に残したいモノ・コトを紹介するブランドブック『wish list』から“art”や“eat”、“education”などのテーマを選び、各ウィンドーのテーマに設定しています。「ファミリア」の考えるこどもたちの未来への願い(=wish)に共感し、そこに阪急百貨店の想いをのせて、7面ウィンドーをいっぱいに使い表現しました。

國分:こどもの遊びやお絵描きなど、こどもたちの自由なアイデアがかたちになっていく様子を表現しています。お子様の描いた花が咲いたり、魚が泳いだり。ポップでカラフルで、見ていて楽しくなるようなウィンドーができました。

ウィンドーの見どころや制作秘話

亀山:今回のウィンドーのために、昨年9月から準備を進めてきました。鉄は熱いうちに打てということで、「ファミリア」の方のお話を聞いてすぐ表現について考え始め、ノートに書き溜めたアイデアを一つひとつ形にしていきました。装飾に使うアイテムを選んだり、模型を作ったり…。
いつもウィンドーを作るうえで意識しているのは、「きれいだね」「かわいいね」だけで終わることのないようにすること。見る人の心に残る要素をあえて入れます。今回も「何だろう?」と興味を持っていただき、少しでもお客様の印象に残るように工夫を凝らしました。

國分:「ファミリア」の過去の洋服を拝見していて、絵本風の商品タグに興味をひかれました。タグの一つひとつに、服のデザインに合わせたイラストとストーリーがついていて、それがお子様とのコミュニケーションツールになっていたんですね。面白いなと思い、商品タグをモチーフにした装飾をウィンドーのひとつに施しました。
あと、これは亀山から学んだことなのですが、お子様の視線に合わせてウィンドーの低い位置にも様々な仕掛けをしています。お子様に発見するよろこびを感じていただければと思います。

wishlist interview
wishlist interview

ウィンドーを通して伝えたいこと

亀山:“家族や友人との絆や願いを未来へ受け継ぐ”というコンセプトを伝えるウィンドーを目指しました。こどもの無限の可能性や、希望に満ちた未来への願いに想いをはせていただけたらと思います。
また、ウィンドーがお子様にとっても親御様にとっても、何か気づきにつながったらうれしいですね。たとえば家のなかでしまっていたものをリメイクしてみたり、こどもの絵をTシャツにプリントしてみたり。そういった楽しみの一つひとつが、大切な想い出になるのはもちろん、こどものアートへの関心や創造性を引き出すことにもつながるのではないかと思います。

ウィンドーを見てくださる方へのメッセージ

亀山:お子様、親御様、そしておじいさまやおばあさまと、3世代で訪れて楽しんでほしいです。過去の様々な服を展示したウィンドーもあるので、「ママがこどもの頃はこんな服を着ていたよ」なんて会話が生まれたらいいなと思います。
ウィンドーを作るうえで、いつも“記憶に残るウィンドー”を目指しているんです。建築は100年後も残りますが、ウィンドーは短期間しか展示されません。皆様の記憶に残り続け、またいつか思い出してもらい、語り継いでいただけたらうれしいですね。

國分:メッセージを7面でどう表現するかとても悩みながら制作しましたが、終わってみるとそれ以上に楽しさのほうが大きかったです。ワクワク感が見てくださる方にも伝わったらうれしく思います。ちなみに、7面すべてのウィンドーにファミちゃんがいるので、探してみてくださいね。

ウィンドーの一部をピックアップしてご紹介!

wishlist interview

つなぐものづくり

テーマは“ハギレから花が咲いたよ”。ハギレを使って蝶やチューリップ、そして大きな地球を作りました。
お子様が大きくなると着られなくなる服が出てくると思いますが、それを使って別の物に生まれ変わらせることで、想いをつなぐことができるのではという提案です。ハギレはすべて「ファミリア」で大切に保管されていたものをお借りしています。

wishlist interview

自由な発想はたのしいね

こどもたちの描く絵にはたくさんの可能性が詰まっていると感じます。こどもが描いたカラフルな線が、一枚の洋服になる様子を表現しました。こどもたちの夢や想像がカタチになり、世界にHAPPYがあふれるようにという願いを込めています。
お子様が描いた絵をもとに洋服を仕立てる「ファミリア」のワークショップからヒントを得ました。

wishlist interview

時空を超える服

白いベビーベッドから未来があふれる様子を表現しました。左側には万博イヤーの1970年に作られた「ファミリア」のこども服を展示し、右に行くにつれてだんだんと現在のアイテムに近づいていきます。「ファミリア」を象徴するりんごの形の大きな時計は、短針(archive)と長針(future)が重なると光るしかけに。過去と未来がリンクすることで、新たなクリエーションが生まれるというメッセージを込めました。

wishlist interview