SAVE the ASO ~阿蘇の草原を守ろう!~

今、阿蘇の草原が存続の危機にあることをご存じですか?博多阪急は、次の1000年にも豊かな草原を残すために「阿蘇草原応援企業サポーター認証制度」認定企業として取り組みます。“未来に向けてできること”私たちと一緒に考えてみませんか?

  • 阿蘇の草原が危ない
  • 草原の恵とは?
  • 博多阪急の取り組み

Crisis 阿蘇の草原が危ない

草原とは?代々人の手で守られてきた阿蘇の美しい大草原 阿蘇の草原は約1万3千年前、縄文時代から存在したと言われています。本来、日本の気候では、自然の力だけで草原が維持されることはありません。つまり、人と自然が手をとり合い、育んできた場所が阿蘇の草原なのです。

阿蘇の草原が減っている 阿蘇の草原は、毎年の野焼きや、牛の放牧、飼料のための採草により維持されています。この草原は一説には1万年以上前から阿蘇に存在したと言われており、阿蘇ならではの生態系が維持されてきました。しかし、時代の変化とともに近年面積が減少してきています。阿蘇の7市町村の草原面積は過去100年の間で半分以下になっているとされ、近年もその減少が続いています。その理由としては1950年代以降の耕運機の普及をはじめとした農機具の機械化により牛馬の必要性が低下したことや化学肥料の普及により緑肥の投入が不要になったこと、茅葺屋根の減少や牛肉の輸入自由化による放牧頭数の減少などが影響していると言われています。

阿蘇草原の危機 2016年の熊本県の調査において「10年以上野焼きなどの維持管理が継続可能」と答えた牧野※のみが30年後も草原の維持が可能と仮定した場合、草原面積が今よりもさらに6割減少するという予測が考えられます。地元の方だけでなく、多くの人の力を借りながら、草原を将来にわたって維持していくことが求められています。

※牧野とは 牧野は、阿蘇の人々が放牧や採草といった農業をする場所であり、長い年月をかけ野焼きや家畜・動植物保護を行いながら守り続けてきた場所であり阿蘇の地域資源です。このように牧野は、阿蘇の人々がその地域にあったかたちで利用することで守られてきた場所であり、一般の方は立ち入ることのできない場所です。

出典:熊本県「阿蘇草原応援企業サポーター認証制度」より

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自然の力だけでは維持できない。代々人の手で守られてきた阿蘇の美しい大草原 そもそも雨が多く温暖な日本の気候では、放置された草原は、やがて林や森へと姿を変えてしまいます。つまり、草原は自然の力だけでは維持することはできません。では、なぜ現在まで阿蘇の草原が維持されているのかというと、人と自然が寄り添い、歩んできた歴史があるからです。人々は暮らしを支える貴重な資源である草原とともに私たちが想像する以上の永い時間をともに生きてきたのです。

阿蘇の草原を維持するために続けられてきた3つの営み

営みその1 春の芽吹きを呼ぶ 野焼き 毎年3月頃に行われる野焼き。草原に樹木が繁茂することを防ぎ、新たな芽吹きが促されます。焼けた地面から草花の新しい芽がすぐに出て、草原の風景を再び緑に変えていきます。

営みその2 刈られた草は様々な用途へ 採草 主に冬場を畜舎で過ごす牛馬の餌や敷料として必要な干し草を確保するために行います。阿蘇地方の干し草刈りは9月から始まり10月下旬まで続きます。

営みその3 牛たちが草を食む草を食む 放牧によって牛馬が草を食べ足で踏み続けることで、シバの生える短草型草原が保たれます。広大な緑の草原で褐色の牛がのんびりと草を食む姿は、阿蘇ならではの美しい風景といえます。

出典:熊本県「阿蘇草原応援企業サポーター認証制度」より

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Grace 草原の恵とは?

生物多様性 生き物の棲みかを守る

								阿蘇の冷涼な気候と草原は、さまざまな生き物が生育・生息できる環境を育んでいます。阿蘇の草原に生育する植物は約600種と言われています。その中には、九州が大陸と陸続きであったことを物語るヒゴタイ、ハナシノブなど、阿蘇地域や国内の限られた地域にしか生育していない希少な植物もあります。
								さらに、草原の植物は多様な昆虫や野鳥が生息できる環境を育んでいます。特に阿蘇は昆虫類の宝庫であり、熊本県産のチョウ類約117種のうち109種が阿蘇に生息しており、「阿蘇はチョウの楽園」とも言われています。
								人々は、多くの動植物が生育する草原を「花野」と呼んできました。昔は、草原の花を摘んで墓前にそなえる「盆花採り」の光景が当たり前に見られており、草原は人々の生活文化にとって身近な存在でした。この「盆花を見続けられるような風景」が、阿蘇の草原の本来の姿と言えます。
炭素固定 炭素を地中に溜める

								最近の研究によると、阿蘇の草原の土壌には、世界に類を見ない極めて膨大な炭素が蓄積されていることが分かってきました。この炭素は、野草の根などの分解物や、野焼き後に残る炭(主にイネ科植物の地上部が燃えた微粒炭)に由来していて、長期にわたって蓄積され続けてきました。
								野焼きを行っている草原の1年間のCO2吸収量は6.9t/CO2/haと言われていますが、これは阿蘇郡市の全世帯が1年間に排出するCO2量の1.7倍に相当する炭素を草原が固定していることになります。野焼きによって排出される温室効果ガス(二酸化炭素やメタンなど)と比較しても、CO2を吸収する効果の方が大きいことが分かってきました。
								野焼きによる草原の維持は、地域規模の課題である温暖化防止に貢献している可能性が高いことが明らかになってきています。
水源涵養 九州の水源を育む

								阿蘇地域は、白川や筑後川などの6本の一級河川の源流域となっています。この6河川の流域と、福岡導水路を通じて筑後川から水が供給される福岡都市圏も加えると、流域人口約500万人の水を支えており、「九州の水がめ」と呼ばれています。
								草原や森林は、雨水を土の中で貯え、ゆっくりと河川に送り出すことで、大雨の時でも一度に水を放出することなく、また、湯水時期でもゆっくりと水を放出し続けることができますが、この機能のことを水源涵養機能といいます。
								阿蘇地域における最新の研究によって、年間の蒸散量(根から吸い上げた水を大気中へ水蒸気として放出する現象)が、スギ・ヒノキ(約250mm)に比べて、ススキ(約130mm)・ササ(約200mm)などの草原の植物の方が小さいことが判明しました。また、遮断蒸発(枝葉にぶつかった雨水がそのまま蒸発する)量も、草原の方が森林よりも小さいとされています。つまり、阿蘇草原は優れた水源涵養機能を有していることが示唆されたのです。

出典:阿蘇草原再生協議会事務局 (環境省九州地方環境事務所 阿蘇くじゅう国立公園管理事務所)「阿蘇と草原とわたしと」より

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What we can do for grasslands 草原のために今日からできること


							草原の支援をするためには、たくさんの方法があります。
							野焼き支援ボランティアをはじめ、
							直接関わる支援はもちろん、阿蘇を訪れて
							楽しむことも、草原について学ぶことも、
							すべて草原の未来につながります。

知る・楽しむ 買う ボランティア 寄付

出典:阿蘇市観光協会「Aso is Good!」より

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阿蘇の営みと風景をまもるために自分にできることは何かを考えるきっかけになると嬉しいです。

Attempt 博多阪急の取り組み

博多阪急は「阿蘇草原応援企業サポーター認証制度」認定企業として、様々な草原保全の活動に取り組みます。

応援サポーター認証制度とは

※外部サイトにリンクします。

博多阪急は熊本県が創設した、阿蘇の草原維持活動に積極的な企業・団体を認証する「阿蘇草原応援企業サポーター認証制度」の認定企業となり、2024年1月に認定証交付式が行われました。

博多阪急での認定証交付式。左から、博多阪急 店長 亀井潤一、熊本県地域振興課課長 久保田健二様

活動レポート 博多阪急のスタッフ5名で野焼き支援ボランティアへ参加しました!

  • 2023年11月、野焼き支援ボランティアに参加するための研修会の様子。阿蘇の草原の恵みと役割とそれらを守るボランティア活動の必要性を学びました。
  • 研修後、地域の方々や約40名のボランティアスタッフの皆様と、来年の春先に行う野焼きに向けた準備作業を行いました。
  • 今回の作業は、“輪地切り(防火帯作り)”と呼ばれ、草原と山林の境をある程度の幅で草刈し、野焼きの際に延焼を防ぐための作業のこと。刈払機で刈られた野草を、鎌などの道具を使い、集めていきます。

INTERVIEW “SAVE the ASO”プロジェクトの企画者であるスタッフ江河と、ボランティアにも参加した博多阪急ナビゲーター・竹村に阿蘇への想いや活動について語ってもらいました。

スタッフ・江河 阿蘇の魅力に惚れこんだ、今回のプロジェクト企画者 / スタッフ・竹村 大阪から転勤でやってきた博多阪急ナビゲーター

―そもそも阿蘇に興味をもったきっかけは?

江河 阿蘇への興味は以前からあるのですが、取り組みのきっかけは、阪急阪神百貨店が2020年から行っている、蒜山(ひるぜん)高原を中心に“人と自然のつながり”をブランド化する「GREENable(グリーナブル)」という活動が基になっています。

竹村 今の時代に必要な取り組みですよね。

江河 その活動の企画担当者であるグリーンエイジ営業部の前田さんに「阿蘇グリーンストック※」を紹介いただいたのが最初のきっかけでした。 ※「公益財団法人阿蘇グリーンストック」 以降、阿蘇グリーンストック

―阿蘇にはよく訪れていたんですか? 江河 阿蘇が大好きで、四季の変化に合わせて訪れていたんです。「阿蘇グリーンストック」の増井さんと出会い、草原の実情を知り…。

―草原の危機を知ることで、この企画につながったんですね。 江河 阿蘇の草原は九州の水がめとしての機能もあるんです。草原の危機が生態系、環境にも大きく影響することを知って大変驚きました。

竹村 高齢化などにより草原を維持するために必要な野焼きに携わる方が減っていたり、生活様式の変化であか牛の放牧も減っていたり…。

江河 担い手の減少によって、野焼きの伝統も存続の危機だと知りました。野焼きができないと、阿蘇の野草も育たなくなります。 阿蘇や国内の限られた地域にしか生育しない絶滅危惧種のヒゴダイ

―阿蘇の美しい自然は人の手によるものだったんですね。

竹村 僕もそれが大きな気づきでした。阿蘇の初めての訪問がこのボランティアだったので、学ぶことが多かったです。

江河 野焼きに携わるボランティアの約3割が福岡から参加とのことでした。今回に限って言えば、平均年齢は70歳くらいでしたね。

―ボランティアは野焼きの下準備を行ったんですよね。

竹村 草を刈って、刈りとった草を集めると聞くと簡単に感じますが、現場はかなりの斜面で…。

江河 バランスを取るのも難しい斜面での作業を、地元のご年配の方がやってらっしゃるんだよね。

竹村 僕が参加者の中で一番若かったのですがへとへとでした。ですが、参加したことでより一層、たくさんの方に、特に若い人にどんどん参加してほしいと思いました!

江河 継続が大事だよね。阿蘇は遊びに行くところだったけど、新しい意識が芽生えました。

竹村 美しい!楽しい!だけではなく、知ることで見方も変わりますし。

江河 今回のこの企画で、まずは阿蘇の草原のことを知ってもらい、阿蘇の自然を守る活動に参加してもらえればうれしいです。

―これからの取り組みは?

江河 私も継続的に参加しながら社会貢献していきたいですね。とにかく“継続”が大事。これからも様々な取り組みにチャレンジしていきたいと思います。

竹村 社員食堂も学びの場になりましたね。

江河 そう!一日限定であか牛のメニューを提供しました。あか牛のおいしさを知るだけでなく、同時に阿蘇の現状を知るきっかけになったという声もありました。

―社内から意識改革ですね。

江河 スタッフにも現状を知ってもらい、どんどんボランティアや、草原保全の活動に参加してもらえるよう頑張りたいと思います。

竹村 お客様にもこの企画をきっかけに参加していただけると嬉しいですね!

イベントレポート SAVE the ASO

熊本・阿蘇の草原の魅力と抱える問題について、楽しく発信する「Save the ASO」イベントを2024年1月に1階メディアステージ・地階フードイベントで開催しました。“阿蘇の草原を守ろう”という想いに共感いただいた、阿蘇で活動している15店舗に出店いただき、様々な立場の方が阿蘇の魅力を伝えるにぎやかなイベントになりました。

トークショーも開催! 株式会社ヤマップの小島慎太郎氏、公益財団法人グリーンストック専務理事の増井太樹氏による、トークセッションを行いました。“ヤマップの取り組みと草原保全に向けて”をテーマに、阿蘇の魅力をはじめ草原の保全活動など、実際の事例を通じて楽しくお話しいただきました。

弊社(エイチ・ツー・オー リテイリンググループ 株式会社阪急阪神百貨店)は2022年3月31日、環境省と「国立公園オフィシャルパートナーシップ」を締結しました。百貨店業界としては初のパートナーシップ締結となります。

国立公園オフィシャル パートナーシップ

※外部サイトにリンクします。

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